特にスポーツクラブ施設内にあるインドアテニスは「スポーツクラブ」というイメージが悪影響を及ぼし不調の状況にある。
他方、「アウトドアは安心」との理由から、インドアから移動した顧客分で盛況となっている事業所は多い。
さらなる逆風はウクライナ戦争とその影響を受けての物価高で強まり、手の打ちようが無いと半ば諦めの境地に落ち込んでいる事業者も少なくないのが本音だろう。
入会金、登録料は無料、更に受講料半額や3分の1、その代わりに半年間の在籍縛りを付けることで短期の売上げを減らしても長期在籍者を獲得することに注力しているところは大手しかない。事業所数の多い大手は広告宣伝に多額の予算をつぎ込むことができるが、1店舗数が1、2カ所ではスケールメリットが無いため費用対効果が薄く予算も無いため状況を見守るしかない現状が続いている。
そんな中でもなんとか生き残りを掛けて、2023年からの戦略を考えたときに、これまで潜在人工が少ないと考えがちだった「初心者」に目を向けることが必要になる。平均年齢50歳超えのスクール事業を考えたとき、65歳以上の高齢者は一度退会したら復帰はなくなる可能性が極めて高い。
そのため一度入会したら永く滞在してくれる可能性の高い初心者、初級者にターゲットを絞ることは当然と言えるが、過去約10年は初心者の入会が減少傾向にあったため、力を入れていなかった事業所が多かったことも事実。潜在人口を顕在人口にするための努力が足りなかったことは認めざるを得ない。
そこで原点に戻り初心者・初級者を集客するための策を講じることが求められる。
しかしどうすれば初心者を集客できるのか?
ホームページはどこの事業者も持っている。Instagram、Facebook等のSNSを駆使することが可能なところはマメに配信することで告知はできる。
しかし、これは必要条件ではあるが充分条件とは言えない。
結局は現在在籍してくれている顧客の満足度が高ければ「口コミ」で集客は広がることを再度認識して欲しい。
当スクールで今年最初に実施するイベントの例を挙げて説明する。
以下は2023年正月の初打ちイベントのPOPである。
※私が最終校正で大きなミスを犯してしまった。
お年玉(参加賞)の内容を記載することを見落としてしまったのだ。
この中に「お年玉」(参加賞)とあるが、内容は書かれていない。この案内を12月16日に配信したが申し込み反応が悪いのは予想外だった。※所属会員の2023年の仕事始めは4日からの企業は多いが、5日やもっと遅く始まる企業も多いのは調査済みだった。そして平日昼所属会員もいると考えた。
しかしあまりにも申し込み状況が悪いので締め切り日の29日にお年玉の内容が「レッスンチケット&フィットネス1日無料利用チケット」であることを追加配信した。
(結果は未だ出ていない)
結果的に2回配信することで元旦の「お年玉」プレゼントに引っ掛けることになった。
当スクールは毎年元旦にスクール在籍会員(レギュラークラス在籍者)全員に「お年玉」としてレッスン券1枚がLINEで配信される。これを楽しみにしている人は多い。
一度より二度見ることで嬉しい印象が二倍以上になると考えたが、結果を見るまでは正直不安もある。当日フロント申し込みは受け付けるため、不安が楽しみに変わる。
お年玉プレゼントの理由は「明るいニュース」であり「笑顔になる」からだ。新年そうそう笑顔になる瞬間を楽しんで欲しいから毎年プレゼント配信をしている。この口コミ効果は大きい。人は嬉しいことは他の人に話したくなるものだから。
新年、あけましておめでとうございます 今年もテニス会員様へささやかながら、お年玉のプレゼントです! |
※実際の配信には可愛い絵柄のチケットが添付されており、そのスマホ画面をフロントに提示すると受講回数にプラスされる。
会員にとって1回あたりの受講料とほぼ同額のイベントに参加することで、1回分のレッスンチケットがもらえて、更に「気になっているフィットネスクラブの3Eマシン(元大リーガーイチロウも使っている可動域を広げ、ストレッチ効果の高い新機種マシン)が使えるチケットまでついてくるお得な企画に映る。
結果は1月4日当日までお楽しみとなるが80%以上の集客に自信はある。
※配信が予定より遅れたことで100%集客予定が下がった。
「使えるモノは全て使う」
さて今回の企画で大切なことは「お客様が喜ぶ企画」が必要で、そのために「持っている施設の能力を全て使う」ことである。無論費用対効果は重要なことだが、新年年明けイベントはこれからの一年に大きな影響を与える効果が大きい。
本当にお客様のためになるか?と自問自答して欲しい。今回の参加賞は実質の仕入れは無い。かかるのはコーチ人件費のみ。人件費が捻出できてお客様が喜んでいただければ効果は後でついてくると考える。そうすることで新規顧客の呼び水となることを期待する。
「何を伝えるか」を考え直す。
テニススクール事業でお客様に伝えることとは本当はなんだろう?
技術力向上は潜在必要条件だ。しかしそれが第一目的では無い。
テニスを通じて楽しい会話や仲間とのコミュニケーションやストレス解消や、健康作り、そして人が生きる為に必要な「思いやり」や広い意味での「人間愛」だと信じる。
レッスンの目的は確かに技術力向上がメインに見えるが、コーチ個人の持つキャラクターが大きく影響することは周知の通り。どんなに個人の技術レベルが高いコーチでもお客様の笑顔が無いレッスンはやがて消滅していく。
「人間力がモノを云う」のである。
顧客満足度という単語を追求した時代があった。当然だのことだが個人の教養レベルが低いため、本当の意味を理解できていないコーチが多かったためテニス事業全体が苦しい時代に陥った時代もあった。コーチ不足は未だ解消されておらず苦労の割には収益も所得も低い事業である。が、人並みに食べていける仕事であることが救いの仕事でもある。
当時のコーチの一部が「人間力」が成長して復活傾向になったところにコロナ禍が襲ってきた。以前私が書いた「本当のコロナはこれからやってくる」の通りとなっている。
かく言う私自身まだまだ徳も学問も足りていないため人間力はまだまだ低いと考え精進しているつもりだが、この仕事をしている全ての人に、今日から自分を磨くことを考えながら仕事をして欲しいと祈る。
結論
私の仕事の流儀は「何を伝えるか」「人間力がモノを云う」である。
そしてテニスを通じてお客様や関係する全ての人たちに喜びと健康を提供する(貢献する)ための努力を重ね自らの人間力を向上させることができれば、この事業は決して衰退することはなく繁栄できると信じて進むことが生き残る術であろう。
そしてこの3年間のマイナスを倍以上のチャンスに変えることにチャレンジしましょう。
以上
2023年正月